2003年7月10日 外交防衛委員会
※(2)からの続き
○国務大臣(石破茂君) これはまだ、確定して、こういうやり方で教育をするというのをコンクリートしてやっているわけではございません。当然、まだ法案も成立をいたしていないわけでございます。
しかしながら、やはりイスラムというものを理解する上において、一つは言語というものがございます。先ほど若林委員から、日常会話なんてそんな簡単なものじゃないぞというおしかりをいただきましたが、それは、もちろんぺらぺらと日常会話をしゃべれるわけではなくて、しかしながら、最低限の意思疎通ができるような、そういうものはしなければいかぬ。──意思疎通と言ってもいけませんか。全く何もしゃべれないということではなくて、こんにちは、さようなら、ありがとう、ごめんなさいとか、そういうような、それにもう少しプラスしたような、そういうものはできなければいけないというふうに認識しています。
それからもう一つは、いわゆるイスラム圏に赴任をする方々、これは自衛官だけではなくて、外交官もそうでありましょうし、あるいは商社マンにしてもそうでしょうし、あるいはメーカーの方々もそうかもしれません。そこにおいてイスラムというものを理解するための一つのやり方というものが、スタンダードがあるわけではございませんが、大体こういう形で研修をしてイスラムの地に行って商売をし、あるいは事業を行い、物を作るというようなことがあるだろうと思っています。そういうものの中で、きちんとした理解、最低限の理解、少なくとも文化の誤解による、基本的な誤解によるあつれき、摩擦、そういうものを起こさないようにということで考えております。
○遠山清彦君 分かりました。
次に、今、長官が言及になったんですけれども、語学の問題ですね。
先ほどの若林委員との議論の中で、自衛隊員でアラビア語できるのは八名ぐらいじゃないかというお話でしたけれども、──一名増えました、まあ一名増えても二名増えても大体十名ぐらいかなと。それぞれのまたアラビア語がどれぐらいのレベルなのかというのは、これは全然分からないわけですが、はっきり言うと、何人の自衛隊員が行くかにもよりますけれども、少ない、極めて少ないことはこれは間違いないわけで、ただ、ただし、当然考えておかなきゃいけないのは、CPAとかあるいは米英軍とかその他の国連機関と連携する際、これは英語でできるわけですから、これはいるでしょうと。ただ、先ほどもちょっと御議論になっていましたけれども、やっぱりイラク国民との関係という、これは私も大事だと思っているんですね。
ですから、語学要員というのはそれなりのアラビア語、さっき意思疎通で、さようなら、こんにちはという、それは何というか、活動を円滑にするという潤滑油的な意味では、それはもう日常会話ぐらいみんな覚えていかなきゃいけないと思いますが、トラブルが起こったとき、起こりそうなときとかにやっぱりぱっと出ていって現地語で交渉できる人、いるといないとでは大きな違いが私はあると思うので、それで、聞きたいのは、これは、例えば自衛隊として自前でアラビア語の語学要員が足りないといった場合に、この法案に基づいて、例えば他の政府機関職員でアラビア語できますよとか、あるいはもう場合によっては民間からアラビア語の高い能力を保持する方々、当然本人たちが同意した場合に限ってですけれども、の自衛隊に対する協力、これを仰ぐ可能性というのは、これはありますか。
○国務大臣(石破茂君) 更に詳細は運用局長から答弁をいたさせますが、それはあると私は思っています。
それはもう、やはり今までもそういうのを活用した事例はございますし、それは自衛隊員が、例えば、今八名と申しました。その八名が全員行くわけではございません、もちろん。その中の一人か二人かもしれません。ですから、その現地の方、あるいは日本人でもそういうアラビア語に堪能な方にお願いする、自衛隊員ではなくてもお願いする、そういうことはあり得ると思っておりますが、詳細、運用局長からお答え申し上げます。
○政府参考人(西川徹矢君) この点、お答え申し上げますが、現時点において任務がまだ明確じゃございませんので、どれだけの通訳が必要だとかどういう場面で必要だとか、先ほど先生おっしゃいましたように、英語で、いわゆる各機関の関係はほとんど英語で通じますので、これからの任務の形態とか、そういうものによって大分違ってくると、こういうことをちょっと前提に置かせていただきまして、我々としましても、今回の準備の段階で、自衛隊の行った部隊が現地の方とうまくコミュニケートできることは大変大事なポイントであると、こういう認識はやっております。
先ほど大臣から申し上げましたように、アラビア語のできる、できるといいますか、アラビア語圏に勤務した防衛の駐在官でございますか、八名おりますが、残念ながらどれだけできるかというのは我々ではちょっとどの程度というのはよく分かりません、大変に失礼でございますが、ある程度できるというふうに我々見ておるんですが。
それから、先ほど大臣の方からお話ございました現地で雇うということですね、これにつきましては、一つ東ティモールでPKOやっておりますが、今、あの際に、現地の人で日本にも留学したという経験のある方で、ティトン語、インドネシア語、それから英語、日本語の分かる、こういう方を現地で雇って大分活用させていただいたというのがございます。ただ、先生御指摘の、残念ながらその日本人、こちらから通訳としてどなたかを隊員以外で連れていくというのはちょっと過去には例はございません。
ただ、語学がそれでいいというふうには、要らないというふうには考えておりませんで、大臣の方から今御指示ございました、そういうことも含めての検討をこれから考えていきたい。とにかく意思が通じることは大変、特にトラブル的なときにいち早くそういう手が打てるということは大事であるということは十分認識しております。
以上でございます。
○遠山清彦君 是非、やっぱり私、語学の問題というのはなめちゃいけないと思うんですね。もしかすると、自衛隊の中にも、最終的には、国際的な活動が多いから英語でいいじゃないかということにもなるんですが、これ英語も、実は私もイギリスに六年三か月住んでいましたので、そういう自分の体験上からも言えるんですが、例えば、私も英語は使いますが、しかしやはり母国語が日本語でして、そうすると英語は母国語じゃないと。例えば、私も今年イランに二回、イラクに一回行っていて、結構英語できる人と話を英語でしているわけですが、しかし向こうもやっぱり英語母国語じゃないと。そうすると、双方英語母国語じゃない人間が英語でコミュニケーションすると、意外に単純なことで誤解をしたり、全く違う趣旨に受け取ったり、人間弱いものですから、先に結論があったりするとそっちに有利なように解釈をしたりすることも間々あるわけですし、日本語でも、母国語でしゃべっていても、昨日の総理の答弁で、野盗なのか野党なのか分からないような答弁もありましたし、駄じゃれじゃないですが。
ですから、それが英語になれば余計そういう確率上がるわけですから、そういう意味で、このアラビア語をできる人を確保するということに関してはあきらめないで、結構いろんな手を使って探していただいて、でき得る限りその強化をして、これはもう隊員の、私は広い意味での隊員の安全のためにもなると思いますので、そこを申し上げたいというふうに思います。
それで、次に、防衛庁長官、これは私の要望なんですけれども、ある程度十分な語学、この語学の問題をある程度クリアしたと仮定して、仮定をして、次に私考えていただきたいのは、この自衛隊の活動、自衛隊がイラクに入った際にその活動の目的及び内容についてイラクの国民の皆さんに幅広く正しく御理解をいただくと、これをやっぱりしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思っております。でき得れば、私の考えでは、現地に行く自衛隊の部隊の中に広報宣伝あるいは渉外、これはイラクの現地の住民対処ですよ、を専門とする、小さくてもいいんですが、チームを作った方がいいんじゃないかとさえ私は思っているんです。
じゃ、こういうチームを作ったときに何やるのかと。例えば私、具体的にサジェスチョンとしてあるのは、今バグダッドの市民の情報源の大きなものの一つは新聞です。これは、サダム・フセインがいたころは新聞は御用新聞が三つあっただけです。ところが、私が調べたところ、フセイン政権が崩壊した後に次々と新しい新聞が発刊されて、今バグダッドでは十四紙あるというふうに聞いているわけです。
例えばですけれども、自衛隊が仮にバグダッド近郊あるいはバグダッドの中で活動するとなったときに、この自衛隊の広報宣伝あるいは渉外を専門とするところが当然に外務省と連携をして、外務省の方で全部やっていただくということも当然あり得ると思いますが、このイラクで発行されている、現地語で発行されている新聞に日本の自衛隊はこういう活動をやりに来ましたということが載る、載って、それを読むだけでも私は、例えば、ああ、突然日本の自衛隊員が現れた、町のどこかにと。彼らは何をやっているのか全然分かんないと。そこで悪い意図を持った人が違う宣伝してしまえば、それは信用されるということもあり得る。
そういうことからも、やはり、今の時代、情報戦というか、情報は非常に大事ですから、是非、これは外務省の方でやるという話なのかもしれませんけれども、防衛庁としても、そういう自衛隊の活動の目的と内容を幅広く、特に実施区域周辺の住民には伝えるという活動をやっていただきたいと思うんですが、御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 大変貴重な御示唆をいただきました。実は、イラクの情報が一体何によって伝わるのか、またアメリカによって空爆を受けたテレビ局って一体どうなっちゃったのか、一日どれぐらいテレビが放映されておるのか。また、私はまた別の方から聞きました話では、テレビもある、新聞もあるが、イラクにおける情報というのは実は口コミがすげえんだという話も聞いたことがございます。
何が一番、いろんな伝達方法がございましょう、しかし、自衛隊が来たことがきちんと伝わる、理解される、誤解を招かない、そのためには何がいいのかということは、危険を避けるという意味からも重要なことであると思っております。私どもは、納税者の御負担とそして自衛官のいろいろな献身の下、挺身の下に行おうとしておる事業でございますから、それが正当に評価をされなければ、これは納税者に対しても自衛官に対しても申し訳のないことだと思っております。外務省とよく相談をいたしまして、私どもその辺はよく心していかねばならない。
ただ、一つは、私ども、PKOに出ました部隊は、例えばもちつき大会ですとか盆踊り大会みたいなこともやって、現地の方とも交流しますが、それは、これはPKOではないということもきちんと理解をした上でやらなければいけない、両々相まってできるだけのことをしてまいりたいと思っております。
○遠山清彦君 ありがとうございます。いろいろとまた知恵を出していただいて、検討していただければと思います。
続きまして、これはもう避けられない、この委員会で避けられない話題で、もう既に今日もいろんな方が触れたこの戦闘地域と武器使用の問題について、若干防衛庁長官に質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず、私の理解では、派遣される自衛隊の要員が武器使用できるのは、ある種の攻撃が発生した場合でも、それが組織性のある、計画性のある攻撃ではなく、また、国又は国に準ずる者による武力行使でなく、また国際紛争に発展するようなものでない場合、その自衛隊員に対するある種の攻撃というのは戦闘行為ではないと。戦闘行為ではないけれども自衛隊員が自然権的自己保存の権利に基づいて武器使用をすると。そうすると、これは非常にまどろっこしいんですね、一般的に言うと。
私は、これは政府の答弁で今まで出てきたのかどうかはちょっと不勉強で分からないんですが、要するに、一言で言えば、自衛隊員は正当防衛行為として武器使用を、使うことは認められているんだと。ですから、私が何が言いたいかというと、一般的に言ったら、さっきの、何か自衛隊に対する何かある種の攻撃があって、それに自然的権利がどうのこうのというまどろっこしい話を付けると何だかよく分かんなくなっちゃう。そうすると何が出てくるかというと、戦闘行為じゃないけれども武器使用をするってどういうことなんだと。素朴な一般的な疑問ですよ。だから私は、いや、それは戦闘行為じゃなくて正当防衛行為なんだというふうに説明するしかない、として武器使用するんだというふうに、急迫不正の緊急避難もあると思いますが、これは防衛庁長官、よろしいですか、それで。
○国務大臣(石破茂君) ちょっと私の説明の仕方が悪かったら申し訳ありません。ただ、これは本当に憲法上の要請を満たすために、これは昨日も分かりにくいというおしかりを随分いただきました、分かりにくかろうが何だろうがと、こう言っちゃいますとまた誤解を招きますが、私どもはとにかく法律的にきちっと憲法の要請を満たすということは担保をしなければなりません。そしてまた、それが同時に、現場の自衛官が迷うようなことがないようにという、この二つの要求を充足させなければいけないと思っております。
その上で、そのことをよく分かった上で申し上げますと、相手が国又は国に準ずる者であってもそうでなくても、正当防衛、緊急避難に基づく、本法案十七条に基づく武器使用はできるのでございます。相手が国であろうが国でなかろうが、そうでなかろうが何であろうが自分を守るための武器使用はできますということでございます。
では、正当防衛、緊急避難とは何なのだということを申しますと、これは違法性阻却事由として、刑法に定められております違法性阻却事由としてございます。私どもは、武器の使用をいたしますのは、それは正当行為としてやるわけでございまして、違法性阻却事由として正当防衛、緊急避難に限るということを申し上げておるわけでございます。法的にはそういう構成になっておると承知をいたしております。
そういう訳の分からないことを言われても困ると、こういうようなことでございますが、要は、相手がどのような者であれ、自らを守るために必要な武器の使用はできるのだと。で、武器の使用はなぜ武力の行使ではないかと、こう言われますと、武器の使用は武力の、武力の行使は武器の使用を含んだ概念でございますがという、これまた非常に寿限無寿限無のような話になってしまうわけでございます。
しかし、これは私は本当に憲法上の要請を満たすために必要なものでございまして、要は、自衛官がその場で逡巡をすることがないように、判断の遅れがないように、そのことはやはりきちんとした訓練、そしてまたROE、それに基づいて確保すべきものと考えております。
○遠山清彦君 分かりました。
それで、じゃ、ここでちょっと相手、攻撃主体が犯罪集団であった場合に限ってお話を聞きますが、相手が犯罪者あるいは犯罪集団、これはよく答弁では、御答弁では例の野盗、泥棒のたぐいというやつですが、その野盗、泥棒のたぐい、つまり言い換えると犯罪者、犯罪集団が攻撃してきた場合は、これはいかなる状況でも戦闘行為とか武力行使に当たりませんね。
○国務大臣(石破茂君) 当たりません。
○遠山清彦君 当たらないと。で、自衛隊は、ですから、この当たらない行為をやることは禁じられていないと。
次に聞きたいのは、じゃ、これはもう仮定の話で申し訳ないんですけれども、この攻撃主体が犯罪集団であることが明白な場合に、自衛隊の部隊そのものではなく、近在する他国の部隊を犯罪集団が武装して攻撃をしてきて、その部隊から自衛隊の部隊に救援要請があった場合には、これは自衛隊は、例えば救援要請を受けてこの他国の部隊を助けて武器使用することは可能ですか。
○国務大臣(石破茂君) 不可能でございます。
○遠山清彦君 しかし、これ戦闘行為じゃないですよね。戦闘行為じゃないから憲法で禁じられている武力行使に当たりませんね。それは何でできないんですか。
○国務大臣(石破茂君) それは憲法には抵触をいたしません。しかし、そのような、例えば第三国の部隊がやられておると、その連隊から救援要請があったと、それに対して行くという権能をこの法案は与えておりません。そしてまた、相手が犯罪者集団であるかないかということと本法案第十七条というのは、それはもう相手が犯罪者集団であれ国又は国に準ずる者であれ、十七条というのが使えることは先ほど来申し上げておるとおりでございますが、要するに、先ほども委員が御指摘ありましたが、そういう場合は基本的にどこの国の部隊も自己完結でございます。自分の国のことは自分でやる。
そしてまた、治安を維持する組織というものが、現地の警察であれ、現状におきましては米英軍であれ、そういうのが負っておるわけでございます。そうしますと、憲法に抵触するものではございませんが、この法案によって権能が与えられておらず、かつまたその国の部隊若しくは治安当局が行うべきものである。現在、私どもそのような整理をいたしております。
○遠山清彦君 大体想像したとおりの御答弁だったんですが、要は、確認したいのは、要するに、攻撃主体が組織性、計画性を持っておらず、国又は国に準ずる者でなくて明白に犯罪集団だと、つまり強盗のたぐいだと分かっていて、それが自衛隊以外のある者、団体を襲っているときに自衛隊がそれを助けに行くことは憲法には触れないということですね。
ただし、この今議論している法案ではそういう治安維持というか安全確保を直接的にやる任務を付与していないと。ということは、裏返して言うと、付与する法律が出てくれば憲法に抵触せずにできるということですね。
○国務大臣(石破茂君) それは更に詳細な議論が必要かと思いますが、武器使用に関して言えば抵触はしないということでございます。武器使用に関して抵触いたしません。ただ、それを第三国の部隊を助けに行くという行為それ自体がどうなのだろう。そして、それが武器使用を伴うのか伴わないのか、いろんなケースがあるだろうと思っております。
相手がとにかく、野党、失礼、野盗ですね、発音は。野盗、強盗のたぐいであったとするならば、憲法に抵触はいたしません。ですから、そういう任務を与えることが果たして妥当なのかどうかという判断になってこようかと思います。
○遠山清彦君 私は二度目に、防衛庁長官、聞くときは、意図的に他国の部隊と言わずにある団体とか、そういう言い方をちょっとしたと記憶しておりますが、いずれにしても、NGO、よく言われるのはNGOのスタッフが自衛隊の近くで襲われて助けてくれといった場合とか、そういう場合も含めて考えなきゃいけないのかなと私は思っておりますけれども、いずれにしてもこの点については、御存じのとおり私も内閣法制局ともいろいろと議論をしておりますので、またいろいろと議論をしていきたいと思いますし、もし仮に、この委員会でも言及がありましたが、自衛隊を海外に派遣をして様々な国際平和協力業務をやる恒久法を作るとすれば、これは大きな議論になっていかざるを得ないというふうに思っておりますので、自分なりの論点整理の意味も込めて質問をさせていただきました。
次に、これも先ほど来議論になっているところですが、例の自衛隊員が誘拐、拉致されて、それを奪還はできないけれども捜索には行けますよ、武器を携行してと。行って、仮に見付け、その自衛隊、その行方不明になった自衛隊を見付けた、場所をロケートしたと、返してくれと。いや返さないと、返さないどころか撃ってきた、武器で攻撃してきた。で、攻撃受けた場合は、これは当然自己保存の権利で応戦できるわけですが、ただ、向こうが撃ってこないときにこっちから撃っていって仲間を助けるということはできませんよというのが私が先ほどの防衛庁長官の御答弁で理解したピクチャーなんですが。
しかし、現実に行方不明になった自衛隊員がいて、仮に居場所が分かったと。しかし、そこを武装した勢力が、何というか、まあ守っていると言えませんね、拉致した状態で囲んでいると。そこにいるのは分かっていると。それで、やっぱり分かっていたら助けに行かないわけにいかないわけで、ただ、我々の今の自衛隊の法的立場からいうと、攻撃仕掛けるわけにはいかないと。じゃ、交渉だといって交渉したら撃ってきたと。で、撃ってきたことに対しては応戦するけれども、しかしそれでまたぱたっとやんだら、まあ英語で言うとゼン・ホワットという感じになるわけですね。つまり、そこから立ち去るわけにもいかないし、でも何もできないという状況というのはこれあり得るわけですが。
防衛庁長官は、そういう想定され得る事態に対してどのような、何というか、方策が、それはもう交渉しかないですか。相手の、拉致した人のお母さんか何かを連れてきて説得工作したりなんかして。それしかないですかね、もう。お願いします。
○国務大臣(石破茂君) そういういろんなケースを、実は私どもの内部でもそういういろんなケースを想定して一体どうなんだという議論はいたしております。実は、そういうことを全然考えないで、全く非現実的なものを自衛官に与えて、行って後はおまえら自分たちで考えなと、そんなつもりは私ども毛頭ないわけでございます。
しかし、最初から武器を使用することを前提として、向こうが撃ってくるということを予測して、それに対する反撃としてではなくて、こちらから撃つことあり得べしといって行くことは、それを多分奪還と言うのだと思うのですね。やはり、返してくれと言い、要請し交渉しということがまずなければ私どもはいけないと今思っているのです。おまえ、そんな悠長なことがというふうなおしかりをいただくかもしれませんが、この法律はそういう仕組みになっておりますし、向こうが撃たないのにこっちから撃つということは私どもとしては考えられないことでございます。
そういたしますと、やはり、先生、今交渉しかないのかというふうにおっしゃいますが、あるいは武器を使わないでということもあり得るわけですね。──いやいや、そうではなく、空手ということではなくて、ここまで言うともう何を考えておるのだというおしかりをいただきますから申しませんが、救出する手だては何も武器を使ってというだけではないということでございます。
ですから、それはいろんなことがありますが、いずれにいたしましても、これが非現実的ではないような対応、そしてまた現地の治安がどのようになっておって、それが我が国でできない場合にはそれをどこにまた依頼をするか。いずれにしても、隊員が拉致をされるというのは大変なことでございますから、それに対してきちんとした対応ができる、我々が法の限界があるとするならばそれをどこでもってその部分を埋めるかというようなこともきちんと考えなければいけないと思っております。
○遠山清彦君 分かりました。
防衛庁長官の苦渋はよく分かっておるつもりですけれども、お話を聞いていたら、実は自衛隊の中には空手特殊部隊みたいなのがいて、武器を一切使わずにそういう作戦を遂行できるのがあれば別なんでしょうが。
ちょっと角度を変えてお聞きしたいんですが、よく最近、報道でも、武器使用基準の緩和は今回行わないけれども、いわゆるROE、これは訳がいろいろありまして、通常、普通に訳すと交戦規定ということになると思うんですが、武器の運用基準マニュアルなんという用語も報道では出ておりまして、これを作成して隊員に配付をするということがあります。
この中に、聞くところによれば、仄聞するところによれば、この中には警告射撃とか威嚇射撃という、つまりこちらがまだ攻撃を実際されていない段階から何らかの基準を満たす場合には威嚇射撃、警告射撃という手続を取っていいと。(「当たり前だ」と呼ぶ者あり)当たり前という御議論も当然あるんですが、この攻撃を受ける前から実際に武器を使用する、これは威嚇射撃でも使用ですからね、武器を使用するのは、これは現行法上問題はないんですか。
○国務大臣(石破茂君) これは問題はないと考えております。先生御指摘のように、武器の使用というのは何もばんばんと撃つことだけではございませんで、例えば構えるということも、あるいは警告射撃をするということも、これは武器の使用という概念の中に入るわけでございます。したがいまして、それは当然向こうが撃たなくてもということになります。
もう一つ、これは先生よく御案内のことかと思いますが、要は急迫不正のといいました場合に、この急迫不正を充足をしますのは、何も向こうが実際に攻撃をすることまで完全に要求をするものではございません。例えば、急迫不正というものを満たしますためには、例えば銃を取り出すためにポケットに手を入れた、これでももう急迫不正は満たしたとする判例もございます。したがいまして、向こうが撃たなくても武器の使用はしてよい、そういう場合はございます。
さらに、詳細は運用局長から答弁を申し上げます。
○遠山清彦君 短めに。
○政府参考人(西川徹矢君) はい、分かりました。
大臣の方の最後のところの急迫不正の場合というので、これはもう既に最高裁判例等々で、急迫不正の場合は必ずしも相手から実際的な攻撃を受ける前であっても、そういうふうな明らかな危険があった場合には対応できるというのが確定しておりまして、そこが時々、撃たれないと撃てないとか、こういうふうな言葉で単純で分かりやすいので言うことがございますが、確定されているところでございますので、わざわざ拡張したとかいう話じゃないと思います。
○遠山清彦君 そうしたら、ちょっとさっきの、防衛庁長官、さっきの拉致の話にちょっと戻っちゃいますが、例えば、じゃ誘拐、拉致をされて、生存していることが分かるか分からないか、これ状況によりますけれども、その隊員の命が脅かされているような状況で、他の自衛隊員が助けに行ったときに、さっきは向こうが撃ってこないとこっちは応戦できないから武器使えないという話ですが、例えば今の論理に従って、拉致された自衛隊員の立場に立てば十分急迫不正の侵害状況で武器使えると、ですよね。だけれども彼は持っていない。それ、代わりにほかの自衛隊員がその権利を行使するというのは駄目なんですか。
○国務大臣(石破茂君) それは、正当防衛というのは、自己又は他人のためと、こういうふうに条文にございますから、それは満たす場合があり得ると思っています。ただ、ただ、──いやいや、ただそのことを最初から前提として、前提として行くことはできない。その場合に、正当防衛の要件というものを満たす、つまり今の先生の論で申しますと、急迫不正を満たす場合にはこちらから武器の使用はあり得るということでございます。
○遠山清彦君 もう時間がなくなったのでこの議論で今日はやめますが、今の長官の、長官の今のお話だと、これ、場合によっては、場合によっては捜索行って、武器使用して奪還できる法理論に何かなりつつありません。
○国務大臣(石破茂君) いや、なりつつありません。
○遠山清彦君 だって、拉致されている自衛隊員の自衛権を代替行使するという形でほかの自衛隊員が、同じ現場にもいますし、それ、行使するという形になればできちゃうんじゃないですか。
○国務大臣(石破茂君) これまた先生、時間取って議論させていただきたいと思っておりますが、十七条はどういうような構成になっているかと申しますと、「対応措置の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員、イラク復興支援職員若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由が」云々と、こういうことになってまいります。そうしますと、「自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員」と、こういうことになっておるわけでございまして、それは、その場合において共に所在をしなければいかぬわけです。──いやいや、ですから、いやいや、拉致されたと、例えば遠山隊員が拉致されたと。それでは、その二キロ、三キロ離れたところから遠山隊員救出のために行くぞということをやった場合に、この十七条に言いますがところの「共に現場に所在する他の自衛隊員」というものを、何キロか離れている例えば本部において、その条件が満たされているかというと、それはそうではない。
○遠山清彦君 だけれども、その前に捜索をする権利はあると言っている。捜索して同じ現場になっちゃうんですよ。同じ現場になっちゃったら、その根拠法でできるんじゃないですか。
○国務大臣(石破茂君) ですから、私、何を言葉の遊びをしておるんだとおしかりをいただくかもしれませんが、それは、それは奪還と言うのです。捜索をして、捜索に行った結果として自己と共に所在するという状況になったとするならば、それは十七条というものがワークする場面が発生するということでございます。
しかし、それは捜索に行った結果として現場性が発生をし、自己と共に所在するという条件を充足したということでございまして、捜索、正当防衛、武器使用と、こういうものが積み重なって、結果としてはそれは同じようなことが生じますが、しかし奪還というものを目的としてそういうことをやるということはこの法案は予定をしておらないということを申し上げておるわけでございます。
○遠山清彦君 もう時間が来ましたので終わりますけれども、この今のお話は、何というか、奪還という言葉を使わないけれども、三段階でそれはできますと御答弁をされたのかと私理解をしておりますけれども、またこれからも機会あると思いますので、御議論させていただきたいと思います。
以上です。