みなさん、こんにちは。 前から書こうと思っていたテーマを書きます。
今年のボーナスの明細を見て、「なんでこんなに天引きされているの?え、厚生年金 !」という叫びをあげた人も多いのではないでしょうか。実は、私も最近担当した政 治学習会等で、「不景気の時に、こんなことする政府は許せない!」と怒りのご批判 を直接いただいたりしました。
そこでいろいろ調べてみたのですが、実際には、人によって若干違うのですが、厚生 年金の徴収量は国から見ると増やしてはおりません(減らしてもいませんが)。
今年4月から、サラリーマンの厚生年金の保険料について、月別給与をベースとする 方式から、ボーナスを含めた年収全体をベースに計算して徴収する「総報酬制」に なったのです。では、3月まではどうだったのでしょうか。
3月までの厚生年金保険料率は、毎月の給与に対しては17.35%(労使折半)で、ボー ナスは1%(労使折半)でした。これが、年収ベースに変更することによって、毎月 の給与とボーナス双方に対して一律13.58%(労使折半)となったのです。確かに ボーナスだけみると、今まで「天引き」額は、0.5%(1%の半分)だったのに、これ が6.79%(13.58%の半分)へと13.5倍に増えたので、「えー、なんだこりゃ!」に なるわけですが、実は4月からの月給からの天引きは減っています(確認してくだ さい)。
「では、トータルでみたら、以前より増えているのか減っているのか?」という疑問 が出てくるわけですが、正確に答えを書くと、「年間ボーナスが月収の3.6ヶ月を超 える人は保険料が増え、逆にそれを下回る人は負担が軽く」なっています。「なんで 3.6ヶ月が基準?」と思う人がいるかもしれませんが、それは厚生年金に加入してい る会社のボーナスの平均が3.6ヶ月なのです(だから、国の保険料収入は変化しな いよう調整されています)。
わかりやすく具体的な事例でいいましょう。給料30万、ボーナス50万を2回(年収460 万円)の人の場合は、ボーナスが3.3ヶ月分なので、トータルの保険料は下がりま す。以前の保険料率でいくと年間計634,000円支払っていましたが、今年度からは、 624,680円へと約1万円負担が減ります。逆にボーナスの対月給比が高い人は、若干負 担が増えることになります。年収に占めるボーナスの割合が高い人ほど、負担が増え ることになるわけです。
なぜこんな制度(総報酬制)に変えたのでしょうか(特にボーナスの多い方はご立 腹でしょう)。理由は主に次の2つです。
(1)前のシステムでは、毎月の給与にかかる保険料率と比較して、ボーナスへの比 率が極端に低いため、同じ年収でもボーナスの割合が高い人ほど年間の保険料負担が 軽いという不公平があり、それを是正した(つまり、年収がともに500万円のAさ んと、Bさんがいるとして、Aさんがボーナスで100万、Bさんがボーナスで150万も らっていたとすると、Bさんの方が年間に払う保険料が少なかったのです。でも、老 後にもらう厚生年金額は同じになりますから、不公平だったわけです)。
(2)以前の厚生年金制度で、ボーナスから徴収された1%(労使折半)は、実は全 く将来の年金額に反映されていなかったのです。たしかに額が小さいので気にしない 人が多かったのかもしれませんが、それでも「ちりも積もれば山となる」ですから、 払っているサラリーマンからみれば単なる払い損だったわけです(とんでもない! 私も制度が変わってから気づきました)。これが今回の改正で将来の年金額に反映さ れることになったので、より公正になったといえます。
ということで、今回の厚生年金に関する変更は、決して庶民いじめの改悪ではないこ とがご理解いただけたと思います。年金に関しては、今後抜本改革が予定されていま す。私もしっかり勉強して皆さんのご質問やご批判に答えられるように努力してまい ります。