みなさん、こんにちは。正月が終わったと思ったら冬将軍の本格的到来です。特に北 日本方面は大変だったようですが、みなさん安全第一・健康第一でがんばりましょ う。
<日米議員交流プログラムに参加>
さて、表題のとおり、私は11日から5日間米国を訪問してきました。1967年から (財)日本国際交流センターが主体となって行っている「日米議員交流プログラム」 第24回派遣団の一員としての訪米で、首都ワシントンに3日間、ニューヨークに1日滞 在し、政界・財界・学界の有力者と、イラク・北朝鮮を中心とした外交問題、日米関 係、米国内政事情など、精力的に意見交換してきました。参加者は、自民党から3 名、民主党から3名、公明党からは不肖私1名の、計7名でした。
私は今回のプログラムには初参加で、しかも個人的にもワシントンは初訪問でした。 日本国際交流センターの山本理事長も同行されたのですが、もう30年近く(?)日米 交流の第1人者で人脈も幅広くお持ちで、それをフル活用して作ってくださった日程 はかなりハードでした。
研究者・学界関係者は、ブルッキングス研究所や国際戦略研究所の面々だけでなく、 国防大学戦略研究所、米国平和研究所など多くの機関の一流の研究者と忌憚なく意見 交換することができました。NYでは、山本理事長の個人的パイプで、ヘンリー・キッ シンジャー博士と一時間懇談することができました。
財界関係者としては、AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)という企 業幹部との懇談や、ティモシー・ガイトナーニューヨーク連邦準備銀行総裁などと会 見しました。
また、米国政府・議会関係者でも、ジェームズ・ケリー国務次官補、ドナルド・ラム ズフェルド国防長官、マイケル・グリーン国家安全保障会議アジア上級部長等と直接 会談することができ、議会では、コーニン上院議員(テキサス州)とワックスマン下 院議員(カリフォルニア州)と意見交換しました。
さらに、ワシントンでは戦略国際問題研究所の主催で、ニューヨークではニューヨー ク日本人商工会議所の主催で、それぞれわたしたち国会議員がパネリストとなってシ ンポジウムを行い、ここでは日本の政治の現状について報告すると共に会場からの質 問にも答えました。
<北朝鮮問題>
北朝鮮問題については、様々な相手と議論しましたが、米側関係者からは「拉致問題 解決のために米国も積極的に行動する」との話が伝えられました。ただ、そのうえ で、現在6カ国協議の枠組みで主要なテーマとなっている核開発問題の解決に両国が 全力を尽くすことも確認されました。北朝鮮は、多国間協議と2国間協議をうまく使 い分けて、日本などある特定の国に揺さぶりをかける外交が得意なので、関係国の連 携が非常に重要だと思います。
拉致議連に所属する国会議員からは、最近報道されている北朝鮮の柔軟化について、 米国政府が不快感を持っていることが伝えられていることを指摘し、その点について の見解は米政府にただしましたが、政府高官は、その情報が事実無根であり、米政府 はいかなる改善への動きも歓迎する旨明言していました。
今回米国へ行って思ったのですが、とにかく米国は大きい国で、政府や議会関係者の 数も非常に多いので、ワシントン発の情報といえども真偽の区別がなかなか難しいだ ろうということです。私の滞在は短かったので、直感的な思いつきに過ぎないのです が、米国では日本以上にさまざまな情報操作が行われているような印象を持ちまし た。
<イラク問題>
イラク問題、特に日本の自衛隊派遣問題については、会った人ほとんどと議論したほ ど、話題に上りました。米国政府関係者は、自衛隊派遣を歓迎していますが、一方で 「日本がどんな貢献をするのか決めるのは、あなたたち(国会議員)をはじめとする 日本人であるから、具体的内容について米国として要望はない」という立場を表明し ました。(ちなみに、国務省と国防省では、ともに昨年暮れの神崎代表と私のイラク 訪問も話題になりました。)
実際にある高官は、次のような逸話を披露しました。小泉総理とブッシュ大統領が会 談したさいに、大統領がイラクへの日本の貢献に言及したところ、即座に総理が「そ れは日本の問題ですから、私にまかせてください」と発言し、大統領もそれ以上その 話題を持ち出さなかったというのです。
これに関連して、キッシンジャー博士とNYで会った際、博士が私の質問に答えて、 「イラクで日本が何をすべきか。それは、日本人が決めることだ。また、なぜイラク で日本が貢献するのか、その理由として他人(米国)を引っ張りだしては本末転倒 だ。イラク復興が日本の国益と世界の利益にかなうという主体的判断ですることがま ず大事なのではないか。」と指摘したことも、印象に強く残りました。
ちなみに私は博士への質問の中で日本がイラク復興に関与する理由としてまずは、国 際社会全体の利益との関係、次に日米関係、そして日本の固有の国益(特にエネル ギー)とのかかわりを指摘していました。いずれにせよ、博士が強調したかったの は、私たち政治家が(当然国民の意見をききながら)責任をもって主体的に判断せよ ということだったと思います。
あと、国防省での意見交換の中で得た情報で貴重だったのは、NYに本部のある国連が いよいよイラクに職員を戻らせる準備を本格化させているということでした。報道の とおり、今年6月にも占領当局はイラク人政府に主権移譲すべく準備が始まってお り、国連もイラク人の暫定政権樹立に合わせて本格的な活動を再開させる意向を持っ ていることがわかりました。
6月以降、米軍や英軍のイラク駐留形態がどのようになるか、いまだに不透明です が、私の予想では治安が相当悪化しないかぎり、駐留規模は縮小されると思います し、それと同時並行で国連の役割が強化されるという感触を持ちました。「それな ら、自衛隊派遣も国連復帰まで待てばよい」という意見(朝日の社説など)もありま すが、現地の窮状をこの目で見てきた私から言わせれば、やはり緊急人道援助はス ピードが大きな成功の要素であり、そういう意味でサマワへの自衛隊(とりあえず先 遣隊)派遣は間違っていないと思っています。
<日米関係>
今回の訪米では、米国側から「日米関係が今ほどよかったことはない」という声がよ く出されました。ただ、私たちの訪問団は与野党問わず「本当にそうなのか」という 疑問を持っていました。確かに、ブッシュ大統領と小泉総理は「ウマがあう」よう で、個人的関係はかなり良好だそうです。また米国民の対日感情もここ最近著しく改 善している調査結果があるようで、ワシントンではそういう空気が濃厚でした。
しかし、日本側は必ずしもそうではない、ということを私たちは丁寧に伝えました。 米国の一国主義的な外交の進め方に危惧を抱いている人も多いし、ネオコンという言 葉はあまりポジティブなトーンでは使われていません。米国のいいところはこういう いいにくいこともあえて正面から発言できる雰囲気があることで、私たちも機会をと らえてこのことを伝えました。
米国側の参加者には意外な顔をした人もいましたが、その原因は日本で米国のことが 報道されているほど日本のことは米国で報道されていないことにあることがあるよう です。日米は同盟国であり、官民共に交流がさかんですが、まだまだ情報量の偏りが あり、それが双方の誤認につながる可能性を、今回肌で感じました。また、このこと は、私たち日本人が、とりわけ政治家がもっと米国に向かって意見発信をしなければ ならないことを意味しており、そういう意味で反省しました。
<米国は21世紀のローマ帝国にはならない?>
最後に、キッシンジャー博士に私が聞いた2つめの話題を紹介します。私は以前日本 で博士に会ったことがあり、その際彼が「米国は21世紀のローマ帝国になるべきでは ない。帝国主義はかならず滅亡する」と話していたことを思い出し、その理由をもう 少し具体的に話してほしいとお願いしました。
キッシンジャー博士の答えは明快でした。「帝国というのは野放図にその領土と権力 を拡大していき、いずれは自分たちの経験を超越してしまう。それでも中央集権的に 統治をし続けようとおもうと、武力集団に依存せざるをえなくなり、次第にその依存 率は高まっていく。すると、その武力集団、軍隊組織が強大な(政治的)力を持つよ うになり、最後はそこに国は倒されるのだ。ローマ帝国も、もともと(政治指導者 が)意図して帝国になったわけではないといえるが、最後は外国人傭兵勢力に倒され てしまったというのは、そういう事情によるのだ。だからアメリカは21世紀の帝国に なってはならない。」
さらに、興味深かったのは、その後の博士のコメント。「この点についての理解が、 私とネオコンの違いなんだ。」ちなみに、博士はもともとニクソン政権で国務長官を していただけあって、共和党の現政権とも親しい関係にあり、ネオコンの論客たちと も交流が深いのです。しかし、博士はこの会話以外の場所でも、自身とネオコンの違 いを強調していました。私なりの解釈では、博士もネオコンも安全保障政策的にはタ カ派であり、米国の国益にかなうならば(テロリストにたいする先制攻撃も含めて) 断固たる軍事行動を取るべきだという立場ではほぼ同じだと思います。他方、博士 は、国全体が軍事組織に依存していく統治のあり方、外交政策の進め方については強 い警戒心をもっており、その文脈でのネオコンと呼ばれる人々と一線を画しているよ うです。
キッシンジャー博士の意見の中身の是非はともかく、私は博士の約1時間の話の随所 に、歴史と哲学を感じ、やはりこの方はもともと碩学の学者であり、そこが普通の政 治家とは違うということを感じ、率直に感動したしだいです。
<国会開会>
さあ、19日から国会が始まります。いろいろ準備不足の不安はありますが、がんばり ます!