遠山清彦です。今、自民党総裁選が行われており、福田元官房長官と麻生幹事長の一騎打ちで、週末は各地を街頭演説しておりました。外務政務官時代の私の上司である麻生氏は、得意の街頭演説で聴衆を魅了しておりますが、安倍路線の後継者と見られすぎているのと自民党内の基盤の弱さから劣勢が伝えられています。福田元官房長官は、演説は麻生氏に及ばないものの、官房長官として1200日余り務め上げた「安定感とバランス感覚」に高い評価が寄せられています。私は、どちらが自民党総裁=総理大臣になっても、今日の難局を乗り切るのに大変な努力を要求されるわけで、その覚悟をもって戦って欲しい、それだけを願いながら総裁選を見守っているところです。
さて、新政権発足後の最大の政策課題は、何と言っても「テロ特措法」です。これから何度かの配信に分けて、この問題についての私の見解を述べたいと思います。テロ特措法は2001年の9・11米国同時多発テロの発生の翌日の9月12日に国連安保理で緊急議決された国連安保理決議1368号の要請を受け、テロリズム撲滅のための国際社会の努力の中で日本として憲法の枠内で貢献することを定めた法律です。2001年11月2日に施行されました。(ちなみに、私の初当選後、最初の国会質問はこの法律に関する本会議代表質問でした。議事録はhttp://www.toyamakiyohiko.com/record/archives/2001/10/post_3.html)
安保理決議1368号は、「テロ行為を防止し抑止するため一層の努力をするよう国際社会に求める」ことを明示しています。これが、テロ特措法のいわば出発点であることを、銘記すべきでしょう。民主党の小沢代表は、テロ特措法に基づく海上自衛隊の給油・給水活動(インド洋上)について、「国連にオーソライズ(正当化)されていない活動」と位置づけて、活動継続に反対を繰り返し述べていますし、「米国の戦争につきあう必要はない」(趣旨)という論法で民主党の立場を国民にアピールしようとしていますが、国民にかなり誤解を与える表現です。また、何か日本の民主党だけが国連中心主義を貫いていると言いたいようなのですが、これも国際社会から見れば、笑われる話にすぎません。
国連安保理は、9・11同時多発テロについて「実行した」と宣言したアフガニスタンを拠点として活動するアルカイダというテロ組織の撲滅とアフガニスタンの安定化と復興を基本的に支持してきました。その一番象徴的な証拠は、まさに国連中心主義を外交政策の柱にすえているカナダやニュージーランドも自衛隊が参加している海上阻止活動に参加していることです。両国の外交政策とその歴史を勉強すればすぐわかることですが、両国は日本以上に国連の意思というものを尊重して外交行動しており、そのために米国と対立してきたこともしばしばあります。両国がアフガニスタンの軍事作戦に参加している背景には、米国ではなく国連が要請した国際社会全体の重要なテロリズム対策だから、という意識が強くあるのです。小沢代表の主張は、この両国の意思と行動の正統性を真っ向から否定するものであり、間違いなく顰蹙(ひんしゅく)をかっているでしょう。
「米国の戦争だ」という論法も、極めて根拠のない話です。確かに、イラクにおける米国主導の軍事作戦については、そういう見方をする先進国もあり、たとえば、フランスやドイツなどはイラク開戦当時より一貫して同国に対する米政府の対応に批判的です。しかし、アフガニスタンに目を転じると、ドイツもフランスも参加しており、両国の海軍艦船は日本の自衛隊から複数回にわたって給油を受けています。両国政府関係者も、アフガニスタンでの行動が「米国の戦争だ」などと言われたら、戸惑うのではないかと思います。
参加国の中で唯一のイスラム教国であるパキスタンが参加していることも、忘れてはならないと思います。もちろん、パキスタンは宗教上の理由以上に、アフガニスタンの隣国であり、また同国との国境地帯(いわゆる「部族地域」)がテロリスト育成の温床になってきた経緯から、地政学的な意味で当事者にならざるをえない側面もあります。しかし、イスラム系の原理主義者や過激派が「イスラム対米国主導の西欧文明」の対立意識を煽る今日の国際文脈の中で、それでもパキスタン政府が参加し続けている背景には、アフガニスタンでの国際行動が幅広く国際社会ならびに国連の支持を受けていることが厳然とあると推測されます。
以上の理由だけを見ても、いかに小沢民主党代表の論理が国際社会の常識からずれているか、理解いただけると思います。







