アーカイブ

月別タイトルリスト

デイリーメッセージ

« 前の記事 | デイリーメッセージメインへ | 次の記事 »

テロ特措法について(2)

遠山清彦です。前回のメルマガで、国連と日本が参加する海上阻止活動(OEF-MIO)の関係、国際社会の見方と民主党小沢代表の見解のずれを私は指摘しましたが、その直後に各種報道機関が報じている通り、新たな国連安保理決議1776号が採択されました。この決議は、同じくアフガニスタン国内(陸上)で活動してきた国際治安支援部隊(ISAF)の任期延長を決めたもので、常任理事国のロシアが棄権したものの、残りの理事国14カ国の政府が賛成し採択されました。

この1776号決議の中にはISAFと並んで海上阻止活動を含むOEFに参加する国の貢献への評価(=謝意:原文appreciation)が表明されており、かつ、OEFを含むアフガニスタンの活動の持続的国際努力の必要性が強調されております。まず、この決議の該当部分の日本語訳を以下、引用します。

<国連安保理決議1776(OEF関連部分)>
○ 治安状況を改善し、タリバン、アルカイダおよびその他の過激派によりもたらされる脅威に対処するために、国際社会(ISAFおよびOEFを含む)の支援を得たアフガニスタン政府による継続した努力に対する支持を再確認し、また、この文脈でISAFおよびOEFによるものを含む持続的な国際的努力の必要性を強調(前文・段落10)
○ NATOにより提供される指導的役割並びにISAFおよびOEFの海上阻止の要素も含むOEFへの多くの国の貢献に対する評価(=謝意)を表明(前文・段落18)

私はこの最新の安保理決議により、アフガニスタンでの海上阻止活動に対し国連が支持し、また評価し、そして参加国に対し感謝している基本姿勢が改めて明示されたと考えます。そしてその立場から、海上自衛隊の給油・給水活動の継続を支持することを改めて表明します。

マスコミのこの決議に対する評価は大きく分かれています。日経新聞の本日(9月21日)の社説は、「安保理決議で苦しさ増す小沢氏の論理」という表題を掲げ、国内政治の文脈だけで反対姿勢を変えない小沢代表を批判しています。読売新聞の同日社説も「海自の活動継続への期待表明だ」という表題を掲げ、具体的な対案を提示していない民主党を批判しています。他方で、朝日新聞などはロシアが棄権したことやOEFへの言及が主文ではなく前文であることなどを取り上げ、国連決議を「形だけ」などと切り捨てて民主党の立場を擁護しています。

ロシアが棄権してしまったことは、私も残念に思います。しかし、反対ではなくあくまで棄権であり、残り全ての14の国々が賛成したことの重みがそれで消えるわけではないと思います。また採択された国連の決議ですから、これは国連全体の意思表明であります。その中で、海上阻止活動への謝意と持続的努力の必要性が強調された意義を意図的に軽くみようという民主党や一部マスコミの態度は、まさに国際社会の意思を軽視するものと言わざるをえません。前文での表現という問題は、この決議の主旨がそもそもISAFの任務延長決議であることを考えれば、当然です。しかし、前文でわざわざ言及したことの意義を重く受け止めるべきではないでしょうか。

また、現在安保理理事国ではない日本政府が理事国に働きかけをして今回の言及を実現した「国連外交の舞台裏の話」も報道され、「こそくだ」(民主党幹部)「国連工作あだ」(朝日新聞)などと批判をされていますが、このような批判は国際政治の現実を理解していない人たちの的外れな議論だと感じています。いかなる国連安保理の決議も、結局は理事国の政府代表者間で調整された作文であり、それぞれの政府の利益や立場を代表して表現を考案します。そのプロセスの中で、理事国ではない日本政府の主張が反映されるということは、日本の外交力が一定の評価をされている証左であり、本来評価すべきことではないでしょうか。国連安保理決議に何の影響力も及ぼせない外交力であったならば、それこそ恥ずかしい話です。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

About

2007年09月21日 20:21に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「テロ特措法について(1)」です。

次の投稿は「テロ特措法について(3)」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。