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「特定」と「一般」財源

遠山清彦です。道路特定財源をめぐる国会論戦では、民主党の「暫定税率撤廃」の主張は変わらないものの、「ガソリン料金を(リッターあたり)25円下げる」という議論は陰をひそめ、「道路特定財源を全面的に一般財源化せよ」という主張が全面に出ています。そこで、「一般財源化」論について、少々書きたいと思います。

民主党の「一般財源化」の主張は、自動車ユーザーから徴収した財源を使途が道路関係に特定されない一般財源とし、社会保障や教育など自動車や道路と全く無関係の政策目的にも使えるようにしよう、という考え方です。

この一般財源化論については、民主党だけでなく小泉元首相など自民党議員の一部でも賛成している人がいます。日経新聞など、メディアの中にも支持する論調があります。また、政府も全面的に道路財源を一般化することには反対しているものの、部分的な一般財源化はすでに行われており、今審議されている来年度歳入法案で言うと道路財源5.4兆円のうち2000億円弱は一般財源として計上されています。

私の現時点での立場は、道路特定財源の全面的な一般財源化には慎重、という立場です。理由の第一は(以前にも書きましたが)、道路特定財源を支える納税者である自動車ユーザーの理解を得られるか分からないからです。言い換えれば、「受益者負担の原則」に反するということです。自動車ユーザーは「道路が整備されると最も利益を受ける(=受益者)」国民と位置づけられ、その前提でその人たちだけに自動車関係諸税を払ってもらっているわけです。(自動車を持っていない人には、払ってもらっていません。)もし「払っている自動車関連の税金が道路以外にも使われる」となれば、「それならば、減税してもらったほうが助かる」という批判が出てきてもおかしくない、と私は考えているのです。

連合の高木会長も「車と関わりのないところに使うのは、(税金を負担する)車に乗っている人には異論があるんじゃないか。そういう観点も含め、議論をするべきだ」(29日読売新聞)と注文を付け、民主党主張の道路財源の全面的な一般財源化には慎重な立場を表明しています。

それから、そもそも使途を特定した財源というのは、道路だけではありません。政府の予算で、特に特別会計を立ててやっている事業(医療、介護、福祉等の分野の事業も多く含まれます)の中には、仕組みとして予算の使い道を限定している(=特定している)ものがあるのです。毎年必要な予算を確保できなくなるので、特定しているわけです。だから、特定財源=悪という考え方は、短絡的すぎるのです。

ただ、道路特定財源が批判された背景には、私も一定の理解をもっています。毎年決まった額の道路予算があると、「必要な道路整備だけ」と表では言いながら、実際には「不必要な道路整備」に回すことが可能だからです。これを政府全体の予算執行で見ると、真に必要な社会保障の予算が一部削られる中、「特定」の壁に守られた道路だけは延々と作り続けられるということが起こり得るし、過去には実際に起こっていたのだと思います。この点を強調すると、一般財源化賛成論が強まることは、理解できます。

以上のことを踏まえて、どのような改革が必要でしょうか。特定財源のまま道路予算を確保したとしても、(1)一般財源化する規模を道路整備状況を見ながら拡大する、(2)拡大された一般財源部分については、自動車の利用によって発生する環境問題対策等を中心に使う(こうすれば受益者負担原則違反にはならないのではないか)、(3)特定財源部分での道路整備も毎年厳密にチェックし、決して不必要な道路が作られないシステムを構築するとともに、10年間で59兆円の予算というのはあくまでも「上限」として、必要な道路事業の縮小にともない道路予算の規模も縮小できるようにする、(4)道路予算の縮小が進んできた場合には、暫定税率をはじめとして段階的に減税措置を講ずる(あるいは、高速道路料金のさらなる値下げを図る。ただし、高速道路を使わない人にメリットはないので慎重な議論を要する)、のような事を実施しなければならないと考えます。

ちなみに、私が以前から主張している自動車重量税の暫定税率分廃止と消費税の二重課税の廃止については、一般財源化とは別枠で「やるべきだ」と考えております。私は道路財源の年度の上限規模は、5.4兆ではなく4.7兆で、10年間の道路予算も上限50兆円程度でいいのではないか、と考えています。

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2008年02月29日 15:32に投稿されたエントリーのページです。

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