遠山清彦です。国会は予算や税法審議の舞台を参院に移しましたが、空転し委員会が開催できない状態です。野党が、衆院採決が「強行だった」と主張し、審議拒否しています。(参院は野党が多数を占めており、野党議員が出席しないと委員会開催要件の定足数が充たされないため、与党側は苦慮しています。)しかし、衆院での予算および税法に関する審議時間は軒並み例年を上回り、衆院で3分の2の多数を占めている与党側は徹底審議する時間を確保するよう野党に最大の配慮をしたわけで、野党の主張は「ためにする批判」でありパフォーマンスとしか言いようがありません。
参院でこのまま予算審議が行われなければ、あるいは大幅に審議が遅れれば、どうなるでしょうか。まず、憲法上の規定で予算案審査の衆院優越権があるので、参院で審議・採決がなくとも、予算案は今月29日(衆院通過から30日後)に「自然成立」します。国民生活を預かる与党としては、予算案成立がすでに確定していることは嬉しいことですが、もし参院でまともな予算審議や採決が行われないということになると、いわゆる「参院無用論」を増長させることになる、と私は懸念しています。この懸念は、野党の参院議員も共有しているはずです。衆院と同様、否、それ以上に有意義な国会審議を行う立法府としての参院の存在意義を示すためにも、野党議員の諸君には早期に委員会開催に同意してもらいたいと思います。
ただ、新聞報道にあるとおり、野党側は審議引き延ばしで別の目的を達成しようとしているのかもしれません。すなわち、予算案と異なり、歳入関連の税法案は、衆院優越権がないため、このまま審議・採決されないと道路特定財源の暫定税率を含む多くの税率を規定している法律群が年度内に期限切れを向かえることになります。「ガソリン税が値下がりする」と喜ぶ人たちがいるかもしれませんが、他の優遇税制も撤廃となり、増税される分野も多くあります。また、暫定税率について言えば、野党の行為は、1月30日の衆参両院議長あっせん時の合意にも反します。参院の江田議長は、民主党幹部出身ですが、そうなればもはや議長の権威も何もありません。議長は、明確に「年度内採決を」と発言したのですから、野党にはそれを守る義務があります。
民主党は、どうも暫定税率を「人質」にして、また日本銀行総裁人事も「人質」にして、国会運営の主導権を握ろうとしているようですが、それは国民政党にあるまじき姿勢と非難せざるをえません。暫定税率等道路特定財源に関する問題については、公明党も与野党協議機関の設置や修正にも前向きな発言をしてきました。せっかく民主党も対案なるものを出したのですから、国会審議を開いて国民の前で正々堂々と議論し、修正すべきは修正すべきではないでしょうか。また、日銀総裁人事も、政党が人質に取るような問題ではありません。先進国で政府金融機関トップが空席になったりしたら、それこそ国際社会の恥です。民主党に大局観に立った、冷静な対応を求めたいと思います。







