遠山清彦です。昨日の参院本会議は「異例」でした。本会議というのは、通常、議員運営委員会で与野党の議員が合意した上で開催するのですが、昨日は与党議員欠席の同委員会で開催が決まり、日銀総裁人事案件等が採決されました。(議員運営委員会の委員長は民主党の西岡議員であり、野党委員で多数を持っています。もし、立場が逆だったら、野党議員は「強行採決だ!」と騒いでいたでしょう。)
結果は、みなさんご存知の通り、政府が提示した日銀総裁候補の武藤氏は「不同意」となりました。私は今回の日銀総裁人事をめぐる民主党の対応は次の4つの理由で「愚挙」と呼ぶにふさわしいと思っています。
(1)政治的に中立の立場で、政府からも独立性を保って金融行政を行う日銀総裁の人事を、民主党の政権戦略・国会戦略の「人質」として利用し、政局に関連させたこと。
(2)武藤氏が総裁にふさわしくない理由に全く説得力がないこと(財務省官僚出身だから駄目だ、というのは朝日新聞が「腑に落ちぬ不同意の理由」と社説タイトルにしたように、稚拙もいいところです)。
(3)国の中央銀行のトップに不在にさせるという、世界の先進国でほとんど例の無い愚行を、政権を目指す政党が容認したこと。
(4)世界的に金融不安が広がっている今日、日本の信用力をさらに低下させる事態を招いたため、日本経済がさらに低迷する可能性を高めたこと。
民主党内でもこの愚挙にいたるまで色々な議論があったようです。新聞報道では小沢代表自ら武藤氏就任容認を示唆していた時期もありました。しかし、最終的には、政府・与党を困らせ、追い込み、民主党が政権を取るのに適した環境を整えることにこの大切な人事案件を利用するという、どうしようもない戦略を採用したようです。
私が最後に申し上げたいのは、次の一点です。鋭い国会質疑などで政府与党を追及することは結構ですが、国民生活や国の経済を混乱させるようなことまでして政権交代を目指すことは、民主党の政権担当能力の無さをますます露呈するだけです。







