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テロ根絶へ国際法秩序の構築を

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遠山清彦参院議員にインタビュー


 米国での同時多発テロ事件を受けて、テロ対策をめぐり、いま世界は大きく動いている。この中で、日本は国際社会にどう貢献していくのか――公明党の遠山清彦参院議員にインタビューした。(注・インタビューは1日に行った)
 

 『テロ犯罪を裁く国際刑事裁判所の創設を急げ』

 ――今回の米国の同時多発テロ事件をどう見るか。

 遠山 大量無差別虐殺であり、重大凶悪な国際テロ犯罪だ。6000人を超える人々が犠牲になり、被害国の人々にとっては、まさに“戦争”と形容せざるを得ないかもしれない。
 しかし、これは戦争ではなく、「戦争のような規模で行われた残虐非道なテロ」と呼ぶべきものだ。60カ国を超える国籍の犠牲者がいると言われ、日本も被害国になった。米国だけの問題ではなく、国際社会全体が協調して、テロに対し毅然たる態度を示し、その根絶に全力で取り組まなければいけない。

 ――どのように対処するべきか。

 遠山 イスラム原理主義の過激派からの、抗議を込めた攻撃と言われているが、人間を殺すことで抗議することなど絶対に許されない。犯人は厳正に裁かれなければいけない。
 では、どう裁くのか――。ここで国際社会は大きなジレンマに陥る。テロは残虐だが、テロに対する行動で、無関係の一般市民が犠牲になれば、道義的に同罪になるというものだ。しかし、何もしなければ、テロが繰り返される土壌ができてしまう。テロを実行した人間は断じて捕まえなければいけない。
 ところが、現在の国際司法は国家が対象であり、個人や集団を制裁する機能がない。国際司法裁判所はあるが、個人は法の適用対象になっていない。テロの容疑者を訴追できる仕組みはなく、国際社会の法秩序の成熟度は非常に低いのが現実だ。
 今回、国際社会が取ろうとする行動は、国内なら警察行為に当たるが、それを行う主体や制度が国際社会に欠落しているため、警察の代替行動として、やむなく行われるものと理解している。
 その代替行動を取れる実力を持っているのが米国で、そこに日本をはじめ国際社会が協調する。容疑者の身柄を拘束し、現在までの国際慣習に従えば、米国の国内裁判にかけることをめざすことになるだろう。あるいは、国際合意があれば、特別の国際法廷を設置して裁くことも可能だ。

 ――国際法秩序の構築も急がれる。

 遠山 テロリストなど国際犯罪人を訴追、処罰する国際刑事裁判所を創設する条約はあるが、まだ発効していない。日本はこの条約を批准し、同裁判所の早期創設に取り組むべきだ。
 EU(欧州連合)諸国は事件後、テロの容疑者に対する共通逮捕令状をつくり、加盟国には容疑者を引き渡す義務を課す新たな規定を決めた。こうした考え方を国際社会全体に広め、国連安全保障理事会の下部組織として、国際テロ専門の機関を設置することも必要だ。
 特定の被害国の軍隊を使わなければいけないような段階を超えて、より法治主義が徹底された国際社会をつくっていくべきだ。


 『日本は難民救援など人道的支援中心に』

 ――日本の国会ではテロ対策法案の審議が行われるが。

 遠山 今回のテロ対策法は、テロに対して未成熟な国際法秩序の空白を埋めるための短期的な措置だ。いわば応急処置。だから時限立法で行う。

 ――軍事的行動以外で解決はできないのか。

 遠山 アフガニスタンのタリバン政権が今回のテロ事件の容疑者とされるウサマ・ビンラディン氏の身柄を引き渡し、いかなるテロ組織も支援しないことを国際社会に示せば、軍事的行動の必要はなくなる。米国も軍事だけではなく、外交・政治・経済的な圧力など、あらゆる方法で、事件を解決しようとする方向になっている。
 しかし、対話の道も閉ざされ、容疑者も捕まらないのであれば、実力で容疑者を確保する行動に出ざるを得ない。最近、米国はビンラディン氏らの確保だけを目的とした軍事行動しか考えていないことを示唆し始めている。その方向を支持する。

 ――軍事的行動に伴い、大量の難民が発生することが予想されるが

 遠山 テロと関係のない人たちが餓死したり、病気で亡くなるような事態は避けなければならない。これからアフガニスタンは冬に向かう。公明党が難民支援と医療等の人道的支援を強く押し出している理由はそこにある。

 ――自衛隊を派遣する理由は。

 遠山 活動地域の一つとして予想されるパキスタンは、日本では考えられないほど環境が悪い。人道支援従事者の安全確保もそうだが、水や電気のない所でも有効な支援活動ができる組織としての自衛隊に注目している。任務の目的は戦闘ではない。難民が餓死したりしないように保障することだ。
 今回、日本ほど難民支援を強く打ち出している国はない。財政支援したり、自国のNGO(非政府組織)が活動する国はあるが、日本は国策として人的な難民支援に力を入れる方針だ。日本は最も人道的な部分で貢献することになる。
 私自身も5日からパキスタンに行き、難民の現状を視察してくる。難民支援・医療など人道分野の支援をする立場から、日本に何ができるのかを、しっかり見てくるつもりだ。


 『子どもの教育など「人間の安全保障」が不可欠』

 ――テロが生まれる土壌の解消に、日本はどう貢献できるのか。

 遠山 今回のテロがイスラム原理主義過激派によるものであれば、中東和平に力を入れていかなければいけない。
 また、子どもの教育に重点を置いた援助が大切だ。世界には、初等教育が欠落したまま、特定の政治的意図をもった教育を受けたチャイルド・ソルジャー(子どもの兵士)が多数いる。日本のODA(政府開発援助)は主にインフラ(経済基盤)整備に使われているが、人間をつくる分野にも振り向けなければいけない。
 貧困と開発援助の問題では、ガバナンス(統治のあり方)に配慮しなければならない。グッド(優れた)・ガバナンスが確立されている地域では、経済援助で民衆の生活はよくなるが、バッド(悪しき)・ガバナンスでは、資金を援助しても民衆のために使われない。国家ではなく、一人の人間のための「人間の安全保障」が求められる。
 開発援助が新たな紛争の火だねになる場合もある。援助が紛争に与える影響を評価するシステムも導入するべきだ。
 テロ組織の資金源にからむ麻薬問題も深刻だ。麻薬のブラック・マーケット(闇市場)の規模は年間60兆円と言われ、その一部がテロリストに回っている。
 長期的な展望として、そろそろ日本も、国連のあり方など、地球社会をどう共同統治していくのかというグローバル・ガバナンスについて議論を深めるべきだ。
 グローバリゼーション(地球一体化)が進む中で、情報の共有が進んでいるが、西欧中心のメディア体系が地球を覆っている。そこから疎外され、自分たちの意見や苦しみは全く代表されていないと考える人々は何億人もいる。今回の問題には、そうしたことが遠因としてあることも忘れてはならない。
(公明新聞)

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