○議長(井上裕君)
遠山清彦君。
〔遠山清彦君登壇、拍手〕
○遠山清彦君
私は、公明党を代表して、ただいま議題になりましたいわゆるテロ対策特 別措置法案等三法案に対し、質問いたします。
初めに、去る九月十一日に米国で起きた同時多発テロで犠牲になられ た方々に改めて深い哀悼の意を表するとともに、御家族並びに関係者の 皆様に心からお見舞い申し上げます。
今回のテロ事件は、民間人を対象とした無差別大量虐殺であり、人道 上許されざる凶悪犯罪であります。日本人も二十人以上が犠牲となって いることから、我が国も被害当事国であります。国際社会の平和と安全 を根底から揺るがすテロに対しては、日本としても毅然たる態度を示し、 その根絶に全力で取り組まなければなりません。そして、我が国が憲法 の枠内でとり得る有効で具体的な方策を迅速に示し、実行することが国 際的信頼を得る上でも肝要だと思います。
私は、アフガニスタンを実効支配するタリバン政権が、今回のテロ事件 の主要容疑者であるオサマ・ビンラディン氏の身柄を引き渡し、いかなる テロ組織も支援しないことを国際社会に示していれば、米英両国による 軍事行動の必要性もなかったと確信いたしております。しかし、国際社会 の再三の要請にもかかわらず、対話の道が閉ざされ、容疑者も捕まらな ければ、実力で容疑者の身柄を確保する行動に出ざるを得ません。
今回の米英国の行動は国内社会に比べて司法機能が十分整っていな い国際社会における警察的代替行動という側面もあると考えますが、総 理の御見解をいただきたいと思います。
また、日本は国際刑事裁判所の設置など、国際司法機能強化へ向け てさらに努力するべきであると考えますが、総理の所見をお伺いいたしま す。
米国並びに英国は、軍事行動開始直後、アフガニスタンの一般市民を 巻き添えにしないよう最大限の注意を払っている旨国連に報告しており ます。しかし、まことに遺憾ながら、既に一般居住区への誤爆によって民 間人の死傷者が出ており、米国政府もそれを認めております。テロ事件 と無関係の民間人の被害は断固回避されなければなりません。誤爆に 対する総理の見解を求めるとともに、ブッシュ米国大統領に対し、誤爆は 何としても避けるよう政府として強く働きかけることが重要と思いますが、 総理のお考えを伺いたいと思います。
さて、議題の法案につきましては、今日までの国会の議論を踏まえ、与 党案に基づく修正が加えられました。すなわち、対応措置の実施に対す る国会の事後承認と外国の領域における武器弾薬の陸上輸送の除外で あります。これらの修正項目に対する総理の見解をお伺いいたします。
今回の国際社会によるテロ根絶への行動の中で最も重要なことは、テ ロに全く無関係な人々の生命、財産が不当に傷つけられることがないよ う配慮することであります。これからアフガニスタンとその周辺国は厳しい 冬に向かいます。公明党を初め与党が被災民支援を強く主張している理 由はここにあります。
私は、去る今月の五日から四日間、パキスタンを訪れ、イスラマバード 及びペシャワールにおいて、UNHCR、国連難民高等弁務官事務所の現 地事務所スタッフや難民支援準備をする日本のNGOのメンバーと意見 交換をいたしました。また、ペシャワールでは難民キャンプの一つを視察 いたしました。この現地調査を受けた結論は、特別措置法案に基づい て、我が国が自衛隊を難民支援等のためにパキスタンなどに派遣するこ とには大きな意義があるということであります。
国連の資料によれば、パキスタン国内には、今回の事態に関係なく既 に二百万人のアフガン難民がおり、そのうち百二十万人が百二十七の 難民キャンプで暮らし、八十万人の多くは路上生活を強いられておりま す。これらの難民の約八割が女性と子供であり、劣悪な環境の中で長期 間難民生活に耐えております。
今回の事態で、さらに最大で百万人の新しい難民が短期間のうちにパ キスタンに流入してくると予想されます。このような状況のもと、現地政 府、国際機関、そしてNGOは対応に苦慮しております。
新法による日本の支援策について、UNHCR現地高官たちは、予想さ れる人道支援活動の規模の大きさにかんがみ、国内における災害救援 の実績を持ち、またルワンダ難民支援等の国際活動実績を持つ自衛隊 による支援を原則歓迎すると私に明言いたしました。
私は、難民をめぐる事態の緊急性も念頭に置き、この法案を早期に成 立させ、具体的な支援計画策定のために現地調査団を早急に派遣すべ きだと考えます。法案に盛り込まれている日本の人道支援に対する総理 並びに防衛庁長官の決意と所見をお伺いいたします。
次に、短期的な措置としてはともかく、中長期的な視点に立てば、軍事 行動のみで国際テロを撲滅することができないのは明らかです。テロ発 生の要因として指摘されている構造的な貧困問題、人権や教育をめぐる 問題、テロ組織への資金源にもなっている麻薬取引の問題などの解決に 国際社会は真剣に取り組まなければなりません。日本はその先頭に立 つべきであります。
日本外交の柱の一つが国連中心主義であることを想起すれば、日本 は国連の場においてテロ根絶へ向けた外交活動を一層強化するべきで あります。例えば、国連安全保障理事会に国際テロ対策専門機関の設 置を提唱する、あるいは今月初頭の国連総会でも議論された包括テロ防 止条約の締結へ向けて強力なリーダーシップを発揮するべきであると考 えます。日本のテロ根絶へ向けた中長期的対策について、総理の具体 的なビジョンをお伺いいたします。
ブッシュ米国大統領は、今月十一日の記者会見で、軍事行動終結後の アフガニスタン再建について、国連主導が望ましいとしつつも、米国として 深く関与していくことを表明いたしました。
日本は従来、アフガニスタン和平実現の積極支援を打ち出しており、昨 年三月にはタリバン、反タリバン、元国王側近の各派有力者を日本に招 待し、和平へ向けた信頼醸成を行ってきました。今日までの経緯を踏ま え、日本もアフガニスタンの再建に強く関与し、同国の安定と一日も早い 復興に寄与すべきであると考えますが、総理の所見をお伺いいたしま す。
最後に、この同時多発テロ発生以来、米軍の軍事行動等に関連して、 米軍基地が集中する沖縄県の観光業界が深刻な打撃を受けておりま す。修学旅行を中心に、これまで十二万人以上の宿泊キャンセルが出る など、県の基幹産業である観光業、特に観光ホテル業は、経営そのもの を根底から揺るがす非常事態に直面しております。
この状況下、政府は、既に沖縄振興開発金融公庫に特別相談窓口を 設置し、貸付金の返済条件緩和や運転資金の緊急融資に着手しており ます。しかし、対象が中小企業に限定されており、打撃を受けているのは 大手も含めた観光業者全体であることを考えると、まだ不十分と言わざ るを得ません。雇用の安定のためにも、支援の対象と手段のさらなる拡 大を図るべきであると考えますが、総理並びに沖縄担当大臣の積極的な 答弁を求め、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
遠山議員にお答えいたします。
今回の米英の行動の性格及び国際司法機能強化への我が国の取り 組みについてのお尋ねであります。
先般の多発テロ事件は人類全体に対する極めて卑劣、許しがたい攻 撃でありまして、日本としても毅然として対応し、テロの一層の助長を防 がなくてはならないと思っております。
累次の安保理決議も先般のテロを国際の平和及び安全に対する脅威 であると認める中で、国連憲章第五十一条に基づく個別的及び集団的自 衛権の行使としてなされた今般の米英の行動は、断固としてテロリズムと 闘おうとする米英の姿勢のあらわれであると考えます。我が国としても、 こうした米英の行動を強く支持するところであります。
また、我が国は、国際社会における最も深刻な犯罪の発生を防止し、 よって国際の平和及び安全を維持するという観点から、国際刑事裁判所 規程の採択のため努力したところであり、今後も設立に向けた努力を継 続してまいります。
米国による誤爆についてのお尋ねですが、米政府のこれまでの発表に よると、今般の軍事行動に際して民間人に死傷者が出た模様であり、詳 細は現在調査中であると承知しています。これに関し、米政府は種々の 場で、いかなる民間人の犠牲が出ることも遺憾であると述べるとともに、 米軍は市民を目標としていない、民間人の犠牲を防ぐべく注意深く目標 を選定し、あらゆる努力を払って市民の巻き添えを防ぐよう努めている旨 述べております。私からもそのように要請をしてまいりたいと考えておりま す。
法案の修正についてでありますが、衆議院において、国会の事後承認 を要する枠組みとすること及び外国の領域における武器弾薬の陸上輸 送は行わないことと修正されたことについては、本法案に対する一層広 範な国民の理解と支持を得ていくとの趣旨によるものと考えております。 政府としては、衆議院での修正を誠実に受けとめ、法案が可決、成立し た際には、対応に万全を期してまいりたいと思います。
人道支援に対するお尋ねでございます。
我が国の外交政策の大きな柱であります人道支援につきましては、国 際連合などからの要請に積極的にこたえられるよう、本法案に被災民救 援活動を規定したところであります。本法案が成立した暁には、同活動 の適切かつ効果的な運用を図るため、現地調査団の派遣の検討を含 め、迅速な対応に努めてまいります。
テロ根絶へ向けた中長期的対策についてのお尋ねであります。
我が国としては、国連その他の場も活用しつつ、テロを許さない国際環 境形成のための外交努力、国際的な法的枠組みの強化、貧困の削減、 民主化の推進等のあらゆる手段を用いて、テロを根絶するため、世界の 国々と一致団結して断固たる決意で立ち向かってまいります。
アフガン和平及び復興支援についてのお尋ねですが、これまでも我が 国は、さまざまな形でアフガン和平に貢献するとともに、アフガン国民の 窮状にかんがみ、適切な形で人道支援を実施してまいりました。今後と も、関係国・機関とも協調し、アフガニスタンの和平、復興の両面でバラ ンスのとれた貢献の方途を考えていきたいと思います。
沖縄公庫による資金支援についてのお尋ねですが、沖縄の観光関連 業界が今回のテロ事件で厳しい経営状況にあるということは承知してお ります。政府としても、このような沖縄が置かれている特殊な状況にかん がみまして、公庫等を通じて適切な融資が行われるよう指導するととも に、また、県や関係各省などとも協議しながら、金融面の支援について配 慮をしていきたいと考えます。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣中谷元君登壇、拍手〕
○国務大臣(中谷元君)
遠山清彦議員から、この十月五日から四日間、直接パキスタンに行か れ、現地の国連UNHCRや日本のNGOのメンバーからの御意見を聴取 された上で、我が国の人道支援に対する自衛隊派遣等の決意と所見に ついてのお尋ねがございました。
人道支援につきましては、先般のテロ攻撃に対して行われる諸外国の 活動に関連して発生する被災民の救援が国際機関から要請されることも 想定され、我が国がそのような要請に積極的にこたえられるように、本法 案に被災民救援活動を規定したところであります。
本法案の成立をお認めいただき、国連のUNHCR等からの要請があっ た場合には、詳しく状況、要請内容を聴取し、現地調査団の派遣の必要 性の有無も含め、その対応について十分な検討を行ってまいりたいと考 えております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣尾身幸次君登壇、拍手〕
○国務大臣(尾身幸次君)
遠山議員にお答え申し上げます。
観光関連業界に対する資金支援のお尋ねにつきましては、総理からお 答えいたしましたとおり、政府といたしまして、沖縄が置かれている特殊 な状況にかんがみ、沖縄振興開発金融公庫におきまして相談窓口を開 設させ、適切な融資等を行うよう指導するとともに、観光関連業を営む中 小企業に対する資金支援を強化するため、近日中に低金利の特別緊急 融資制度の創設を予定しているところでございます。
沖縄公庫では、お尋ねの大手ホテル等に対しましても、債務償還条件 の緩和などの相談に応じるなど、資金支援に努めてきているところでござ いますが、さらに、民間金融機関との連携のもと、支援のための取り組 みを強化するとともに、政府といたしましても、沖縄県とも協議をしなが ら、大手ホテル等の資金調達について遺漏なきよう取り組んでまいりた いと考えております。
さらに、テロ対策について申し上げますと、政府といたしましてテロ対策 には万全を尽くしているところでございまして、テロの性格から、どの地域 が危険でどの地域が安全とは言えないと考えております。
沖縄県議会におきましても、沖縄県民生活や経済活動は支障なく平穏 どおり行われていることを全国民にアピールする旨の決議が満場一致で なされておりまして、国民の皆様におかれましては、過剰な反応に陥るこ となく安心して沖縄を訪れていただきたいと考えております。
私自身も近く後援会の沖縄旅行を計画しておりますが、今でありますと 沖縄旅行は料金面でもサービス面でも極めて有利でございますので、ぜ ひ関係の皆様に沖縄旅行をお勧めいただきたくお願いを申し上げる次第 でございます。(拍手)







