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2008年05月02日
暫定税率復活について
遠山清彦です。少しごぶさたしております。周知の通り、4月30日に衆院本会議で改正租税特別措置法が3分の2の賛成多数により再可決されました。これによりガソリン税などの道路財源関係の暫定税率が復活し、連日報道されています。一般の自動車ユーザーをはじめ、運送関係・ガソリンスタンド関係の方々には、1ヶ月でガソリン・軽油の値段が高下し、ご迷惑をおかけしたことに対し、与党の一員として陳謝申し上げます。
道路財源の今後の改革については、後に触れますが、今回の再可決はどうしてもやらなければならない行動だったことは、ご理解いただきたいと思います。改正租税特別措置法は、別名「歳入法案」とも呼ばれている通り、国と地方自治体の収入(税収)を担保するための包括的な法律であり、本来、既に国会で成立している予算関連法案=歳入法案とセットで成立させておくべきものです。衆院がこの法律を参院に送付したのは2月29日。しかし、参院で多数派を維持する野党の様々な妨害で約2ヶ月間、まともに審議・採決されることがなかったため、衆院で憲法59条の規定に基づき、再可決をし、成立をさせました。一般の家計においても、支出(予算案)だけ決めて、収入(歳入案)を決めないでやりくりすることはありえません。そういう意味では極めて常識的な行動であったことは、強調したいと思います。
ただ、冒頭述べたとおり、この再可決で暫定税率が復活したため、そこに焦点が集まりました。批判する人いわく、「原油高・物価高が続いているし、もともと『暫定』税率なのだから、復活させる必要なんかない」「山口2区の補選で負けた政府与党は、民意を無視している」「道路財源の無駄遣いを徹底的に検証していないのに、復活するのは、とんでもない」等々、様々な論点があります。
これらの批判を公明党は真摯に受け止めています。特に、道路財源を使って役人の慰安旅行をしたとか、高額なタクシーチケット代を支出したとか、野球グラブやマッサージチェアーを購入したとか、私も怒りを共有している諸問題については、徹底的にメスを入れ、改革をすることを誓いたいと思います。ただし、再可決をしなかった場合に生ずる年間2.6兆円の財源不足は巨大であり、これを許した場合の地方政治および国民生活の混乱を避けるためにも、必要な決断でありました。(全国のほとんどの都道府県知事、市町村長が再可決を支持していたことに留意ください。)
また、道路財源については福田総理が繰り返し発言しているように、まだ国も地方も予算を組んでいない来年度から一般財源化していきますし、その改革議論の中で、公明党は暫定税率の一部引き下げ(特に自動車重量税など)を実現したいと思っています。「暫定」という名前も使わないようにすべきだと思います。一般財源化する際に、道路以外のどういう事業に貴重な税金を使うのか、慎重な協議をしなければなりません。道路財源は、自動車ユーザーからのみ徴収している税金です。それを道路以外に使うとなれば、相当慎重な協議をしなければ、国民の理解を得られる結論は出ないと思っています。私は、公害など環境対策に今よりも多めに配分する方針に賛成ですが、医療や教育や介護など他の分野に広げるとなると、基準を明確にしないとまとまらないし、そもそも自動車ユーザーの納税者の方々が納得してくれるかどうか、不安です。
ちなみに以前も書きましたが、原油高だから税率を下げよ、という主張はなかなか難しい話です。なぜなら、国際市場で決まるモノの値段の高下に合わせて税率を変えるということになると、原油安になったら税率を上げよ、という議論まで肯定してしまうからです。(これには、反発する国民が多いでしょう。)また、今回のガソリン料金の高下に関する報道を見ていて私が気になったのは、モノの値段を下げる(例えば、デパ地下で夕方値引きされること)ことと税金を下げることの意味がごちゃごちゃになって議論されていたことです。モノの値段を下げるという行為は、それを売る商店の収支に影響が限定される話ですが、税金を下げるということは、国や地方の収入が減り、それが公共投資の減額として国民生活に跳ね返ってくるので、本質的に意味が違うはずです。個人のお財布レベルだけで考えれば、「得をした」となるガソリン料金の25円値下げだったのですが、税収減という意味では、毎日60億円もの本来入るべき収入が日々減じていたわけで、このマイナス影響を無視することは政策論としてはできないわけです。
政策論といえば、興味深いのは、政府与党の対応をこっぴどく批判しつづけている民主党が、実はまともな対案を出していないことです。4月18日付けの『朝日新聞』7面に「民主案3つの疑問」という記事が出ていて、そこで鋭い指摘をしています。道路財源に関する民主党の主張を検証すると、3つの疑問が出てくるというのです。(1)民主党の言うとおり暫定税率を撤廃して、2.6兆円減収になった場合、どうやってその税収不足を補うのか(2)民主党が声高に主張する道路財源の一般財源化と「それでも地方の道路整備(=1.6兆円は最低必要)は確保する」は矛盾しないのか(3)民主党の昨年末の税制改革大綱に盛り込まれた「環境税導入」はどうするのか、という3点です。
民主党議員の中には、特別会計の剰余金(いわゆる埋蔵金)を使って税収不足を補填できるという人がいるようですが、私が以前参院本会議質疑で取り上げたように、特別会計の剰余金は現在出るたびに国庫に返納し国の借金返しに使っています。また、仮に2.6兆円程度の穴埋めを今年できたとしても、毎年継続して穴埋めできるほどの埋蔵金はどこにもありません。ということは、2点目の地方の道路整備費確保という民主党の主張は、実現不可能であり、まして一般財源化した場合には、道路以外の分野と予算の争奪を毎年地方がやらなければならなくなるので、これもそう簡単には実現しません。環境税もいったいどれくらいの規模にするのか、民主党は明示していません。つまり、民主党は政府案にひたすら反対しているものの、自分たちが政権を担ったときに、どうやって公約を実現するかその青写真は実はないのです。国民は、民主党の反対論だけでなく、どうやって国を運営していくのかという部分にも着目していただきたいと思います。
投稿者 t-mode : 2008年05月02日 18:56